ピッ
 38.5

「・・・・ったく・・・。ホントに・・何やってんだよ。」
「うぅ・・ごめん・・」
「だから、昨日傘持っていけって言っただろ!?」
「だって・・」
「だってもこうもない!」



「心配」



「あ・・・。もうこんな時間だ。」
今は 8:10。

風邪をひいてしまって、熱が出たから、休む。って翼に言ったら、すぐに来てくれて。
朝練あるのに、休んで私のトコロに来てくれた。

今 とても嬉しい。

本音を言うと、ずっといてほしい。
長く側にいられる事なんて少ないから。

でも、そんなワガママばっか言ってちゃダメだ。


「もうそろそろ、学校に行かないと遅れるよ?」
そう言うと、翼はニヤリvと微笑んで、言った。
「俺がいないと寂しいだろ?ギリギリまでいてやるよ。」

「え、あ・・ありがとう。」

熱が出てるから、わからないとは思うけど・・顔が真っ赤だと思う。



「・・・じゃ、僕も行くよ。一人で大丈夫?」

「大丈夫だよ。もう中3だよ?いってらしゃーい。」

「じゃあ行ってきます。部活終わったら、また寄るよ。」
そう言って、走っていった。


「・・・ふぅ・・。」

ポツン、と家で、一人残された。


サミシイ。

そう、思った。


は、あまり風邪を引くこともない。
だから、学校を休むなんて事は無かった。

・・・一人でいるなんて、無かった・・


孤独感が生まれる。


何故か、眠れなくて、ボーッと天井を見ている。

「・・・翼・・」
頭の中で、翼を思い描く。

「翼・・サミシイ・・。」

無性に泣きたくなってくる。


だが、それも眠気により、なくなっていき・・意識が薄れていく。



次に目が覚めたのは、電話の音だった。


prrrr

電話が鳴り、起きる。

時間を見ると、もう12時。

「早いなぁ・・」
そう呟きながら、電話をとる。


「もしもしー。」
「お母さんだけど。お昼、帰れるから帰るわね。」
「はいはーい。じゃあね。」
「じゃあね。」


数分したら、チャイムが鳴った。
ピンポーン

「はいはい・・。」
鍵を開けて、ドアを開けた。

「お母さん、おかえりー。」

「ただいまv」

数秒間、唖然としていた。
慌てて、前に立っている人物の名前を言った。

「・・・・・つ、翼!?」

「お出迎え、どーもありがとうvま、開けてくれなかったら侵入してるけど♪」

「・・・・どうして・・・」

そう聞く・・が、無視して中へ入っていく。


「おじゃましまーす。」

「ちょっ・・・翼!」

私の部屋に入ると、イスに座り、私を見る。

「・・何?」

「・・・・ゃ、だから・・どうして・・って・・」

「何が?」

何を言っても無駄そうなので、いちおう確認のために聞く。

「・・・今何時・・・?」
「はぁ?12時に決まってんじゃん。」

「・・・ねぇ、翼。12時って・・四時間目の途中だよ?」

「あぁ、そうだな。」
あっさりと言う。
「そっ・・・な・・」
言葉になってない に対し、翼が言う。
「何言ってんだよ・・。 抜け出してきたし・・というより・・サボった。」

目が点になった。

「なにやってんのよ・・・」
呆れた を見て・・思い出したように翼が言う。

「・・・ 、早く寝たら?良くならないじゃん。・・・何のために部屋に来たかわかんないだろ・・」

その言葉を聞いて、 の頭の中に、式が浮かんだ。
『部屋に入る→私を寝かすため・良くなれるようにするため=翼の気遣い』


「・・寝ますっ!おやすみなさい〜。」
何故か、恥ずかしくなってベッドの中に潜り込んだ。


数分か沈黙が流れる。


やっぱり起きようか、と思った瞬間、翼が口を開く

・・起きてる?」

起きてるよー!とか言うと、マシンガントークが発されそうなので、目を瞑っている。


「・・・今日・・僕、おかしいほど・・何もかもが手につかなかったんだ。マサキ達に心配かけたみたいだしね・・。
  でも、珍しいものを見るような目で見たから、ちょっと殴ってやったケド。・・ のせいだよ・・・。」

私のせいなんですかっ!?

心の中で突っ込む私とは裏腹に、翼は続ける。

「だって・・ のコトばっかり考えてたんだ。元々・・風邪とかひかないっていうのもあるけどー・・心配だったし。
  って、一人はさみしい、って思いそうなんだよな。すぐ孤独感に覆われそうっていうか・・。とにかく・・心配だったんだよ!」


ドキッ

自分でも、心拍数が上がってるコトがわかる。
すごく・・嬉しい。

翼が―・・そんな事を思ってくれているなんてわからなかったから。
そんなに想ってくれてたなんて知らなかったから。



翼は、 の様子を伺い、言う

「・・・僕と付き合ってから・・不安だったんだよな。ごめん。・・・これからはずっと側にいるから。安心しろよ。」


・・・・・っ・・

嬉しさ故に、涙が溢れてきそうになる



「・・・何も言わないの?起きてるんだろ?」


あら。お見通しデスカ。。


そっと目を開けると、そこにいたのはー・・

穏やかな笑顔の翼。


「・・・翼。ごめんね。」

そう言うと、

「違うだろ?」

そう言った。

初めは何かと思ったけど、すぐにわかった。

「・・・全部含めて・・ありがとう・・。」

そう言うと、笑った。

「どーいたしまして。」

私も負けずに微笑んだ。


「あ、そういえばさー、不思議なんだよなー。」
思い出したように言う翼
「何が?」

「何かさぁ・・・ の声が聞こえた気がしたんだ。」

「・・え?」
私・・叫んでないよ?と言いそうになる。

「僕のコトー・・呼んでないよね?」
いちおう聞いておく、と言って

「呼んでない−・・・」
そう言いかけて、思い出す。
眠気に襲われた前、

"翼・・サミシイ・・"

   って言ったような記憶がある。

悩む私を不思議そうに思っている翼。
「ふーん。じゃ、いいんだけど。ま、今もココにいるしね」
「うんっ・・」




次の日。

私は学校へ行った。

翼に・・会うために。


「でも・・・こーゆー時って、いっつも相手が休んでるんだよね―・・」

苦笑しながら呟く。


「僕はそんな事にはならないけどね。」

後ろから声がした。


振り向くと、翼が。


「病原菌なんて、僕には効かないに決まってるじゃん。」

ニヤリ、と笑った。


「だよね!」

そうでなくちゃ、と思いながら、私も笑った。





放課後―

「ねー・・ナオキは?」
私が聞くと、マサキが答える。
「あぁ・・休み。」

「・・サボりだろ?」
と、翼の声。

「えー・・ナオキが!?それはないでしょー。」


「・・・・ナオキ・・風邪で休みだとよ・・。」

「何でも、38.5度の熱が出たらしい。」


そう聞いた瞬間、無意識に翼を見てしまった。



「ま・・まさかねぇ・・・」

は、そう呟いていた。


その後ろで、マサキ達が何とも言えないような顔をしていたトカ。




<END>




+−+−+ あとがき(という名の謝罪) +−+−+


翼サン、初めの方は『白』だったのに・・『黒』なんでしょうか・・謎です。ハイ。(ォィ)結局どうなんでしょうねぇ。ナオキは(笑で、さりげにマサキが出てきたのは、あくあの趣味です。(待て)補足ですが(?) 奈美サンが風邪を引いたのは前の日、雨が降っているのに傘も差さずに帰ったからなんですね。んでわぁ!碧華様、リクありがとうございましたv

          清瀬あくあ



==感謝==
いやー・・・何だか良いですね(何)
私風邪ネタ大好きです!(笑
翼・・・!可愛い・・・v
ヒロインちゃんも可愛らしいですねー。
あくあサン、本当にありがとうございました!

 家長碧華