「ねぇ、。のすきな数字ってなに?」
「すきな数字ねー・・・。4、かな」
4 you
「4?なんで?」
「えー・・・だって」
「俺の背番号」
「・・・え、翼」
「そーか、そーか。翼くんの背番号ね」
「ちょっ・・・もー」
今はお昼休みで、翼が珍しく教室で眠っていた(寝顔は見えないように。覗き込めば見えるけれど)
昨日夜遅くまで本を読んで、すごく眠いらしい。
お昼の前に早弁をして、お昼にはグラウンドか体育館で体を動かすのがいつもの翼のお昼の過ごし方だ。
私のいつものお昼の過ごし方は、前の席に座っている親友のとお弁当を食べながらお話をすること(ちなみに今は隣で翼が寝ている)
今日も私はいつも通りに貴重な休み時間を過ごしている。
翼は寝ていると思って、4と答えた。
別に聞かれて困ることではないけれど、何となく恥ずかしい。
たとえにでも、彼氏の背番号です!とは言えない。
「じゃ、翼くんのすきな数字は?」
「と同じ」
翼に似合う数字は4しか考えられない。
これで翼が1とか答えたらショックを受けただろう。
私が今までみてきた翼は4しかつけたことがないだけかもしれないけれど、4でセンターバックな翼がいつも私の中で輝いている。
これから4じゃない背番号をつけることがあるかもしれない。
それでも、翼は翼にかわりはないから・・・ちょっと違和感あるかもしれないけれど。
「4ってさー死だからとかいう人いるけど・・・あんたたちには関係ないわね。
どっちかっていうと幸せのしって感じ」
「死なんていわないで欲しいよねー?」
「そう思ってるやつらは死ってしか、もう思えないんじゃないの?」
まだ眠そうな翼は、椅子に座ったまま伸びをする。
ふとグラウンドをみると同じクラスの男子がサッカーをやっている。
制服でサッカーなんて・・・転んだらどうするんだろう?と思う。
いつも目で追っている人は今日は自分の隣で眠そうにしている。
「翼くんはさ、4番以外つけたことないの?」
「あるよ。小学生のときに」
「え、何番つけてたの?」
「9番つけて、FWやってた」
「翼が・・・FW!?」
「そ、FW。それも結構点取ってて、エースストライカー。その後バックに移動して、ずっと4」
そういえば、お昼休みのサッカーではFWをやってることが多かったな、と思い出す。
何点か得点のシーンも見たことがある。ゴールした後友達と嬉しそうに笑っている翼がすきだ。
貰うよ、と一言告げられて私の飲みかけのペットボトルが翼に持っていかれる。
こんなのはもう日常茶飯事なわけで、もうなんとも思わないけれど、の視線がある分ちょっと恥ずかしい。
コク、コクと喉を通る良い音が聞こえる。そんなに喉が渇いていたのだろうか。
丁寧に蓋を閉めたペットボトルがサンキュの声と共に戻ってくる。
うん、というと私は箸を置いて翼に質問をしてみた。
「じゃ、いつもお昼休みのサッカーでFWやってたのって?」
「昼のは遊びだからね。本気で俺がDFやったらずーっと0点だよ。つまんないだろ?
だからってDFやって点を入れられるなんてまっぴらごめんだからね。
俺がFWになればいいわけじゃん。まぁ、FWからみたDFってのも経験しといて損はないからね」
「翼くん昼休みのサッカーでそこまで考えてるなんて・・・恐るべしだわ」
「それにしても、ずいぶんと俺のこと見てるみたいだね?」
「だ、だって!・・・しょうがないじゃん!」
「そうなのよ、この子ずーっと翼くん見てるの。私が話しかけてるのに!お弁当を食べるのも忘れちゃうのよ?」
「へー・・・。そうなんだ?そんなに俺のこと?」
「ちょ!もそれ内緒って言ったじゃん!」
いつもとちょっと違ったお昼休みは災難だ。
が全部翼に喋っちゃうし。
それを聞いて翼がにこにこしてるし。
「翼!今日はサッカー行かないの?ほら!みんなやってるよ!」
「いいよ、どうせ今から行ったって直ぐチャイムなるだろうし。
話変えなくていいから、」
でも、翼のことがすこし詳しくなったお昼休みだった。
070310 家長碧華