「口内炎痛い!口内炎痛い!痛いよ、元希ー!」
「うっせえなあ!どこに出来たんだよ?」
「舌の、先っちょ」
まるであっかんべーでもするかのように舌を出し、痛い箇所を見せてくる。指差す場所にあったのは思っていたよりも大きなものだった。ひーひー言いながら涙目ながウケる。
まあ、そんなことを言ったら頭を叩かれるのはわかっていることだから、心の中に留めておいた。痛い、ってことだけは充分すぎるほど伝わってくる。ソノ痛み自体はまったくわからないけれど。
「うわ、いたそー」
「痛いんだってば!わざとらしいのがムカつく!!」
「だってオレには痛さが伝わんねえもん」
「伝えられるなら、この痛み全部元希にあげるよ」
いらねえよ、そんなの。と返すとは膨れ、また「痛い」と嘆いた。これだけ「痛い、痛い」と涙目になりながら言われると心配ぐらいする。オレだって一応の彼氏だ。
そういえば、つい最近も口内炎が痛いと言っていた気がする。
「ってしょっちゅう口内炎できんな?この間も騒いでなかったか?」
「そうなんだよ。この間は噛んでしまってねー。痛かった・・・」
「じゃ、今回は?」
「今回も・・・噛んでしまいました・・・」
「ばっかじゃねーの!」
「ばっ!」
そう言っては黙り込んだ。痛みが走ったらしい。あまりの痛みに机につっぷす。こんな調子で今日の部活はどうするんだ?マネージャーでも声は出す。監督に言っておけば大丈夫か。
部活始まる前に監督んとこ寄ってー・・・げ、今日掃除当番かもしんねえじゃん!めんどくせえな。
つっぷしているをぼーっと見つめながらそう思っていると、ばっといきなり勢い良く起き上がった。びっくりして、瞬きを繰り返す。
「しばらくキスしないでね」
なにを言い出すのかと思えばそんなことかよ、と思ったがよーく考えてみれば納得のいかないことだ。自分でも眉間に皺が寄っているのがわかるくらい、しかめっ面をしていると思う。
「はあ!?なんでだよ!」
「痛いんだもん。舌なんか入れられたら死ぬ」
「ンなの知るか。舌入れなきゃいんだろ」
「そう言って約束守ってくれなかったじゃん、この間」
そう言われ、この間も同じような事を言われたなと気付く。「軽いキスだけね」そういう約束だった。なのに今回はキスがダメってどういうことだよ!オレが前のとき約束を破ったからか?
「だって我慢できねえんだもん」
「そ、そんなこと、堂々と言わないでよ!」
「はあ!?我慢なんてしねえぞ」
「そんなきっぱり言わないで!バカッ!」
この授業(つっても自習だけど)が終れば昼飯だ。こいつはちゃんと弁当を食えるんだろうか。昼飯ンときも「痛くて食べれない!」と喚きそうだ。口内炎が痛いならしゃべんなけりゃいいじゃん。
大人しくしてりゃいいじゃん。
「うるせえな。口塞ぐぞ」
「そっちがうるさいっ・・・たあい。元希のバカ!」
口内炎を噛んでしまったのか、口に手を当ててオレを睨んでいる。そんな目で睨まれても恐くもない。むしろ、涙がうっすらと滲んでいて、可愛い、気がする。こいつがすきなんだなーと思う。
がすきだ。
どうしようもなく、すきだ。普段、そんな言葉は言わないけれど、オレはちゃんとがすきで、もオレがすきなんだ。
「しゃべんなけりゃいいだろ」
「元希は私としゃべりたくないんだ?」
「誰がそんなこと言ったよ!のこと考えて言ってやってんだぞ!?」
そう言うとは急に大人しくなった。お、やっとわかったかと頭を軽く二度叩く。ボソッと「元希のバカ」と呟いていた気がするが、見逃してやろう!
キーンコーンカーンコーンと授業終了のチャイムが鳴った。「あー昼飯だ!」「お昼食べようー」「購買行こうぜ!」とさっきの自習時間よりも騒がしくなる。
オレもイスに座ったまま一つ伸びをして、立ち上がる。
「メシだぞ?」
「わかってるよ」
「どこで食う?」
「屋上」
いつもオレたちはどこで昼飯を食うのかを決めていない。その日、その日によっての気分によって変わる。昨日は「移動するのがめんどくさい」という理由で教室で食べた。今日は屋上だそうだ。
なかなか立ち上がらないを急かすようにの弁当と毎日が作ってくれてるオレの弁当を持ち、行くぞと声を掛けた。
「元希が」
「ん?」
「元希が私の心配するとは思ってなかった」
心配しちゃ悪いのかよ。そう言うと「そんなこと言ってないじゃん、もー」と途中痛んだのかつまりながら返事が返ってきた。ゆっくりと立ち上がって、机に無造作に置いていたケータイを握ってやってくる。
こっちに来たのを確認して廊下に出た。廊下には購買に行くやつやオレらみらいに教室じゃないとこで食うために移動するやつらがウロウロしている。
「ほら、はやく屋上行かないとお前のすきな場所取られンぞ?」
「・・・やだ」
「じゃーはやくしろ。なんで大人しいんだよ、お前らしくなくてキモチワリィ」
「元希に言われたくないッ!!」
「心配してくれたりキモチワルイって言ったり元希はあほだー!」と後ろで叫んでいる。オレはあほじゃねー!!オレは腹が減ってんだよ、はやくしろ!
腹が減ったときのオレは凶暴だって秋丸が言っていたのを思い出した。そんときは、そんなことねえよッ!て言った気がする。ソコら辺は覚えてねえや。でも、オレ本当に凶暴になるのかもしれねえ。
ソノ凶暴さを治めるためにの手を握って屋上へ急いだ。もうのすきな場所が取られてたらオレが奪い返してやるよ。
とにかくオレはこの空腹感を満たしてから考えたいことがたくさんあるんだ。まず1つ目!どうしたらが元気になるか(口内炎が治ればよし!)で、2つ目!どうしたらキスできるか!(これも1つ目と一緒!)
で、3つ目!オレはを心配したら変なのか!(なんでさっき不思議がられたのかが不思議だ!)ラスト!オレは思ってたより元気なに助けられているらしい!
異常だ、絶対おかしい
(に依存してんのかオレ・・・)
080518 家長碧華
タイトル提供:as far as I know