圭介くんがお嫁さんにした人はすごくキレイな人でした。
代表以外で圭介くんに会う機会があまりないから、圭介くんの彼女を見たのは数えるほどで、それもちゃんと見たことがなくて、ぼんやりとキレイな人だったよなー…という程度の記憶しかなかった。初めてちゃんと見るのが結婚式っていうのはどうなのかと思うが、まぁ、仕方ない!オレがジュビロなわけでもないし。
1週間後には一馬の結婚式がある。一馬の彼女はよーく知っている。一馬にはもったいないくらいのしっかりした可愛い人だ。一馬がああいう性格だから、しっかりした人じゃないとやっていけないだろう。つまり、2人がくっついたのは運命ってわけだ!一馬のくせに、オレより先に運命の人と出逢いやがって!!そう郭に言ったら「結婚願望のない結人に言われたくないと思うよ」と言われてしまった。…ごめん、一馬ッ!オレまだ1人身が…結構楽しいんだ!(椎名家に入り浸るのが楽しいんだ…!!って言ったら椎名の言葉の暴力を浴びるから内緒だ)
ちょっとはなしがずれた。オレや一馬のはなしじゃないんだ。圭介くんの結婚式に来てるんだ!正確には結婚披露宴なんだけど。
そう、そう。お嫁さんがすごくキレイっていうはなし。黒のロングタキシードをスマートに着こなしてしまう圭介くんもカッコいい。圭介くんのような体型ならどんなものでも見栄えがいいのだろう。オレ、男だけど圭介くんに惚れそう…ッ!!奥さんになるさんも純白のウエディングドレスがとても似合っている。イチバン笑ったというか、驚いたというか、凝視したというか…のがお色直しだった。全部で2回のお色直しがあった。最初は白。コレは普通だ。うん、白は女の人の憧れだもんなッ!次はきっと圭介くんが選んだに違いない…。どう見てもジュビロのチームカラー、サックスブルーのドレスで入場してきたときは隣に座っていた藤代と同じことを呟いた。
「「圭介くん、やるな…!」」
流石に自分もサックスブルーのタキシード…というわけではなかったけど、グレーのストライプのタキシード(一馬に言わせたらショートフロックコート??だか、なんだからしい。さっぱりわからん!)に変わっていた。ワイシャツがサックスブルーになっていて、細けぇええ!!と叫んでしまうところだった。どれだけジュビロを愛しているんだ、あの人は!!ソレに付き合ってサックスブルーのドレスを着るさん…。良い人だなぁ。そして、サックスブルーもまたよく似合う。この夫婦なんか完璧じゃね?恐ろしくね?しかも、さっき入場してきたときの音楽ってジュビロのホームスタジアムで選手が入場してくるときに流れる音楽じゃね?なんか聞いたことある…と思ったけど、絶対そうだ!藤代にコソッと聞いてみたけど、やっぱりそうだった!圭介くん、いろいろと恐いッス。やりすぎッス。
「一馬んとこは?イエローのドレス選んだか?」
「いや…白とピンクのドレスにした」
「あー、ピンク確かに似合うかも。可愛いもんな、彼女ー。でも、レイソル愛がたりねぇぞ!」
「いいなー。オレも結婚しようかなー…」
「藤代んとこ、付き合ってどれくらい経つの?」
「来月の17日で…丸7年だな」
「長ッ!?」
いやー、結婚ブームが来てるのか?挙式ブームか?なぜこんなに立て続けに式を挙げる!!次はなんだ、藤代か?7年も付き合っといて、もうそろそろだろう!?藤代んとこは東京Vだからー…緑か!緑のドレスを選ぶのか!?…あんま見たことねぇな、緑のドレス。緑似合う人ってのがあんまりいない気がするもんな、うん。
披露宴というのは招待客の席を決めるのがイチバン悩むらしい(2か月前に披露宴を挙げたばかりの椎名先輩より)圭介くんも悩んだに違いない。椎名のときもそうだったけど、オレたちの周りにはサッカー関係者ばかりのテーブルだ。ちなみにオレと同じテーブルのヤツは、オレ、藤代、一馬、英士、椎名、黒川、三上の7人。右側のテーブルを見ればジュビロのヤツらがいるし(風祭もいる)、左側のテーブルを見ればサッカー好きな芸能人がいたりもする。圭介くん交友範囲広いなー。あーッ、やべっちがいるー!
「どう?オレの披露宴。楽しんでる?」
「圭介くん!いいの?新婦1人にしてー!」
「あ、連れて来れば良かった?そうだよな。若菜とかにちゃんと紹介してないもんな。ちょっと待ってて。ーッ!」
急に1人でオレらのテーブルに来たかと思えば、奥さんの名前を呼びながら戻って行く圭介くん。ここは自分家のリビングとかじゃ、ないんだけど…!オレらの方を指さしながらさんに二言、三言何かを告げるとさんが笑顔で頷いた。さんの手を引いて、ゆっくりとこっちに戻ってくる。
「今日からオレの奥さん。です」
そう言い終わると同時にニコッと笑って軽くお辞儀をされた。ソノ笑顔にちょっと照れてしまいそうだ。
いつの間にか圭介くんの手はさんの腰に回っている。でも、いやらしさが全くないッ!!むしろ紳士さが出ている。タキシード着て、その身のこなし。ん?身のこなしってなんか違うな。立ち居振る舞い!!そう、そう。立ち居振る舞いだ!!ソレがなんの違和感もなくできちゃう圭介くんはやっぱりカンペキだなぁ…。
「いつも圭介がお世話になってるのに、こんな場が初めましての挨拶ですみません…。圭介からおはなしはたくさん聞いてます。一緒にサッカーやってて、ワクワクするって子供のような笑顔で話してるんですよ」
「えー、そんな圭介くん想像できないんスけど!」
「ー!変なこと言うなよー!」
「だって、本当のことじゃない。だから、早くみなさんに挨拶したかったんですけど、圭介ったら中々機会を作ってくれなくて」
「こんなヤツらにのこと紹介したら、どうなるかわかんないだろ」
確かになー。さんキレイだし、近くで見たら(遠くで見てても思ったけど)スタイルもいい。でも、圭介くんから奪おうとは思わないよなぁ。思えないし。つーか、きっと、奪えねえ!!こんなカッコいい圭介くんから奪う?ありえねぇ!!オレが奪われたいッス!!…ごめんなさい、ウソです。言い過ぎました。自分キモイッス。調子に乗りました。全国の山口圭介ファンの皆様…ごめんなさい。
「さん、ソレってサックスブルーのドレスですか?」
「そうなの。わざわざ作ったのよ、このドレス。圭介ったら、ありえないでしょ?」
「ユニフォームで入場するって言わなかっただけ、良かったんじゃないッスか?」
「それが、言い出したのよー!藤代くん圭介のことわかってる!ユニフォームってのもありじゃないかって言い出して。絶対イヤって言ったら、この色のドレスって言ってきかないの。探してもらったんだけど、サックスブルーなんてあるわけないでしょ?そしたら、今度は作るって言い張って作ってもらったのよ。藤代くんはそんな無茶しちゃダメよ?」
「ははっ、了解ッス!」
「でも、そんなとこが圭介らしいのよね」と圭介くんに聞こえないように呟いたさんは本当に幸せそうな笑みを浮かべていた。
どこかからか「圭介ー!こっちにも来いよー!」と誰かが叫んでいる。圭介くんがソレに応えて手をあげた。またさんの手を取る。まるでダンスにでも誘うかのように手を取るその動きもスムーズすぎる。様になりすぎだ!
「んじゃ、楽しんで行ってくれよ。あんまり堅苦しいのイヤだからさ。まぁ、オレたちがこんなんだし」
「さんのこと幸せにしてあげて下さいよー」
「誰に言ってんだよ、若菜」
「かっちょいーッ!」
「ばーか。行くぞ、」
「うん。あ、真田くんも結婚おめでとう。私、披露宴行けないから、ちょっと早いけど。お幸せにね」
「あ、ありがとうございます。さんこそ、圭介さんとお幸せに…!」
最後にとびきりの笑顔を残してさんは圭介くんに手を引かれ、行ってしまった。一馬がすっげー耳を赤くしている。こんな一馬見るの久しぶりだーっ!!お前、彼女にこんなとこ見られたらきっと1週間後の結婚式中止になるぞ!?他の女の人にデレデレしてー!!って泣かれるぞ!?
自分たちだけじゃなく、他の人の幸せにも気を配れるさん。素晴らしいッス…ッ!
その笑顔に敵なし
(ウエディングケーキの下のほう見てみ)(…サッカーボールのケーキ!?)(すっげ…!)
090925 家長碧華
タイトル提供:MISCHIEVOUS