その微笑みが語ること
「浦和レッズ 4 主将 椎名翼 CB 4月19日生まれ。
全ての年代別日本代表に召集され、その殆どで主将をこなす。輝かしい道を歩んできた選手。
後ろから冷静に状況を見渡し、周りの選手へ的確な指示を出す頼もしい主将だ。
選手からではなく、監督、サポーターからの支持も大きい。
小柄だが、体格差を忘れさせるようなしつこいマーク。攻めの時間だとみるやいなや、リベロとして前線へ一気に駆け上がる。
駆け上がるときのサポーターの声援はすでに名物、となりつつある。意表をついての、ミドルシュートは世界でもきっと通じるだろう」
「…何、読んでるわけ?気持ち悪いんだけど」
「うちに送られてきた、サッカー雑誌だよー」
先週僕はサッカー雑誌の取材を受けた。練習後1時間ぐらいで軽く終った取材だった。
雑誌が完成したらチームに送りますね。と親切だった覚えがある。広報がうちに送ってくれたらしい
「何が、世界でもきっと通じるだろう、だよ。世界プレーヤーはもっと巧いね、悔しいけど。
で?お前はその「雑誌の中の僕」をそのまま鵜呑みにしちゃってるわけじゃないよね?
それを書いた人よりも、誰よりも僕と一緒にいるんだから、僕のこと一番わかってくれてるよ…ね?」
「いや。サッカーについては、浦和レッズの選手たちの方が私よりわかってるよ。絶対に。
で、浦和レッズの選手たちの次にこの取材した人たち。で、次ぐらいに私?だって、私翼と一緒にプレーしたことないもん」
僕と会話はしつつも、目はしっかり雑誌に向けられていて、そんなにじっくり読むほど面白い文なのかと思う。
さっきが音読した文を聞いた限りでは、普通のサッカー雑誌で魅力はあまりない。
僕本人が言うのはおかしいかもしれないけど、読者が期待してるのは僕の本当の声というか、素直な声じゃないだろうか。
まぁ、それはホームページの日記でこまめに更新しているから雑誌で語ることはあまりないけれど
「(…そっちかよ。プレーじゃなくて、人間性を…)あーそうだね。僕とじゃなくて、誰ともプレーしたことないだろ?ったく」
「いやー、自慢だわー。翼がこんな雑誌に載っちゃって。切り取っておかないとねー♪ね、翼」
僕の話はちゃんとに届いているんだろうか。溜息をつくと、に「幸せが逃げる!」といわれるので、なんとかとどまる。
僕が関係しているページを丁寧に切り抜き、どこからかファイルを持ってくる。
「。そのファイルなに?」
「あ、これ?見せたことなかったっけ?翼の記事いっぱい取ってあるんだよー」
そういってファイルを開き見せてくれる。
古いのだと5年ぐらい前のものまである(僕がU-19で活躍して、段々と知名度が上がってきたあたりだ)
「私、翼のファンになっちゃってるよねー。ファンでもこんなにちゃんと取ってる人いるかな?」
「よっぽど僕がすきなファンだね、そんな人は」
「じゃ、私はよっぽど翼がすきなファンだ」
「は実物の僕がずっと側にいるだろ?」
「また、そのルックスからも女性ファンが人一倍多い。日本代表合宿のときなどは、練習後1時間をかけてサインをする姿が見られる。
ファンを大切にするところもファンが多い理由かもしれない」
070120 家長碧華(拍手だったものをアレンジ)