完全敗北



---------060211 vsアメリカ代表 in サンフランシスコ SBCパーク---------



現地時間20時 日本時間13時にKICK OFFしたW杯イヤー初の親善試合。 FIFAランク7位の強豪相手に何処までやれるのか、W杯を占う試合になりそうだと有名な解説者は言う。

アメリカならでは、野球場での試合。選手にとってはピッチに入るまで不安が拭い切れない。 何せ野球とサッカーとでは芝の状態が違う。


「スタメンは昨日発表した通りよ。FIFAランクなんて気にしないであなた達のサッカーをやってきてちょうだい」


円陣を組んだ日本代表を明るく送り出すのは、西園寺監督。 どんなにバッシングを浴びようが、弱気な顔は見せない頼もしい監督だ。 それに選手はちゃんと監督との意思疎通が取れている。 報道陣が好き勝手言っていることぐらいわかっている。


「翼、頼んだわよ」
「任せときな、監督!」



主審のホイッスルで今KICK OFF。選手自身試合の入り方は悪くなかった。 前半15分頃まではボールポゼッション率もアメリカを上回っていたのも確かだ。

しかし、2002年ベスト8の実力が日本代表を襲う。 ボールポゼッション率もいつの間にかアメリカが50%以上。 いつもならあまりTV画面に映らないGKの渋沢が今日は頻繁に映る。 その分トップ下の2人とFWの藤代の姿がわからない。


「9番マーク!」
「フリー!フリー!」
「そこカバー入れ!!」


左右のサイドバックもいつもの安定感がない。CBの翼が全てを跳ね返している気もする。


「集中しろ!!いつものお前ららしくないっ!!」


アメリカは容赦なく日本陣地へ攻めてくる。完全に守りに入ってしまった日本。

前半だけで無常にもゴールネットが二度も揺れてしまった



「後半システムを変えます。FW藤代に代わって風祭。DF五助に変わってFW鳴海。サイドの人はDFラインに入って4バックよ。 ダイヤモンド型の2トップで行きます。これから日本代表のあなたたちの強さを見せてきなさい」


「将!鳴海も。あと3点。頼んだぜ」
「はい、翼サン!!」
「おぅ。任せとけー!」


スピードのある風祭と、高さの鳴海が入り攻撃のバリエーションが増えた。 前半より攻撃的に日本らしさのサッカーが出来ている


「この良い流れのうちに点を取れれば…」


後ろから見ているDF、GKはきっと同じ事を考えていただろう。 その願いがサッカーの神様に通じたのか、鳴海が得意のヘッドで1点を取った。監督の采配が見事に当たった。

しかし、日本の追い上げもここまで。主審がホイッスルを3度鳴らす。


世界との差を改めて感じた。





061223 家長碧華