君が笑うなら





「う、わ、入ったぁーっ!!!入ったよ!」
「…んー。どっちが?」
「イングランド!ジェラード!!すげぇーてあのミドルシュート!」
「おー…流石ジェラード」


ゴールシーンのリプレイが流れる。reverse angleとかもう良いよってくらい何度も流れる。 でもそのリプレイで何度も入るゴールを観て騒ぐのが隣に居る。 すげぇなぁー!とか。こっから打つかぁ、とか。やっぱそのタイミングかぁ、とか。 夜中の3時近くとは思えないテンション。


観たか!?凄くね!?」


…誠二クン私眠いのよ、何て言ったら可哀想だから。


「観た、観た。ジェラードかっこいいわ」


「ベッカムのピンポイントクロスもすげぇなぁ。イングランドプレスはやいっ!!」
 

え、私の言葉は無視ですか。しかも、あなたすげぇばっかりだよ。ん?…そういえば。


「誠二ってさ…文句とか言わないよね?」
「文句?」
「そこで打てよ、とかプレス行けよ、とか。野次?」
「あー俺サッカーやってる側だからわかるもん。そこで焦って行ったらやられるとか。 ブーブー文句言う奴って本当のサッカー知らない奴じゃん?」
「そうかー…」
「それに俺にとっちゃ盗む技いっぱいだし文句つけれる程俺上手くねーし」
「誠二って…凄いね」
「そぉ?ありがとっ」


ゴールした選手の笑顔より誠二の笑顔の方が輝いてた気がするのはきっと気のせいじゃないと思う。 ジャパンブルーに身を包みピッチの上で輝いている誠二が見てみたい。






060626  家長碧華