「わぁー!!先生!娘サン!?可愛いーっ!!」
「そうだよ。李華、挨拶は?」
「…」
「あはは、ごめんなー。恥ずかしがりやで」





幸せのにおい





今日は学校祭最終日。そして今から一般公開が始まる。 俺は「警備」の名札を付けて(見るからにやる気がなさそう)校門のところに、他の先生方と立っている。


「誠二先生ー!何その名札の付け方!!」
「ん?あー警備!」

「先生ー。暑いー。何か奢ってー」
「いやだっ!!俺だって暑いっ!」


30分ずつで変わる受付係りの生徒たちと戯れながら、警備の役目は忘れない。来た人たちへの挨拶も忘れない。

曇りがちの空でも暑いものは暑い。警備を始めて2時間ちょっと。 ずっと待っていたお客さんが到着した。


「ぱぁぱーっ!」
「おっ!来たか!!李華ー。待ってたぞ」
「凄く煩かったのよ。李華ってば。早く行きたい。まだ着かないのか。パパは何処なのかって」
「お祭りだもんなー。早く遊びたいよなー?」
「うんっ!!だから、早く入ろ?」

そういって俺に抱っこをせがむ3歳の李華。重くなったなぁ、と実感しつつ李華を抱っこする


「スイマセン、ちょっと案内してきます」
「楽しんでおいで、藤代先生」
「はい!ありがとうございます」



校舎に入ると早速二人の生徒が寄って来る。


「わぁー!!先生!娘サン!?可愛いーっ!!」
「そうだよ。李華、挨拶は?」
「…」
「あはは、ごめんなー。恥ずかしがりやで」
「誠二先生、奥さん連れてるー」
「良いじゃん、俺の働いてる学校見てもらいたいし?」
「李華ちゃんって言うんですか?」
「可愛いですねー!」
「そう、李華っていうの。ふふ、ありがとう」
「俺は無視かよっ!」


恥ずかしがりやな李華は、俺に抱きついて顔を隠した。


「誠二先生の奥さんじゃない?」
「あ、絶対そうだよ。キレイじゃない?」
「だって、誠二先生の奥さんだよー?」


学校祭じゃないと見れないであろう、先生方の家族。そりゃ、騒ぎたくなる気持ちもわかる。 色んなところで似たような会話が耳に入る。

俺だって…とラブラブしながら学校を回りたい…!!

そんなこと言ったらに怒られるだろうから、言わないでおくけど…。 でも、これで結構な人数の生徒に俺とと李華の良い感じぶりを見せ付けれたと思う!!




060730  家長碧華