「圭介、今日白い恋人のアニメやるんだって」
「知ってる、知ってる」
「うそ?なんで知ってるの。今起きてきたばっかで、新聞も読んでないのに」
「この間ファンの子が教えてくれた」
「ふーん。で、見るの?」
フワフワ
某有名製菓、白い恋人。それは、俺の大好きなお菓子。北海道の定番のお土産。
今年で10周年を迎えたらしい(白い恋人10歳か。10歳の白い恋人・・・。それはやばい)。
その記念にアニメが朝10時から放送される。30分ではなく、1時間も放送される。
俺ももう20歳だし、アニメなんて見ないけどこのアニメはちょっと気になる。
でも、10時。練習真っ最中な10時。練習がきつくなってくるのが10時頃。
「録画する」
そういうとは笑ってた。言うと思ったと笑ってた。
「ちゃんと撮っておいてあげるから、練習頑張りなさいよ」
「いつも頑張ってるつもりだけど」
「えー、パス練なのにリフティングしてたりする人がなに言っちゃってんの」
「・・・なんでそれを?」
「風祭くんに聞いたー」
「・・・行ってくる!!」
「はい、はい、行ってらっしゃい」
玄関へ逃げるように行っても、がついてくるのはわかっていたし、行ってらっしゃいのキスもなしに練習の行く方が頑張れないから、
どうせ玄関へ走って逃げても、を待つに決まってる。
今日もいつも通りに、靴を履いて、車のキーを持って、財布をポケットにいれて。
に軽くキスをしてドアをあける。
「録画ちゃんとしとけよ」
「わかってるってば」
そして、練習場へ車を向かわせた。
[オマケ]
練習後、サポーターに白い恋人をもらった。北海道から明後日の試合を観るために来てくれた女の子2人だ。
俺がそのお菓子が好きなのを知ってわざわざ買ってきてくれたらしい。
「俺これめっちゃ好き!」
「圭介選手に渡したくて、買って持ってきましたっ!」
「ありがとうー。今日アニメ見ながら食うわ」
「あのアニメ見ながらですか?」
「おう。絶対食いたくなると思うから。ありがとな」
「!白い恋人もらったっ!!」
061229 家長碧華