お昼寝日和は洗濯日和
「今日は天気良いね。お洗濯物干さなきゃ損だ」
昨日は雨が降り、洗濯物を干す事ができなかった。昨日たまった分も今日のうちに洗濯しなくては。
庭に出て、洗濯物を干しているとふと旦那は何をしているのかと考える。
家の中は静まり返り、リビングからテレビの音すら聞えない。自分の部屋にこもっているのだろうか。
珍しい。自分の部屋にこもることが翼にはほとんどなかった。
洗濯カゴに入っていたものを全て干し終わり、カゴを元の位置に戻すと2階へあがった。
翼の部屋の前で立ち止まり、軽くノックをする。返事はなかった。
「翼ー?入るよー?」
ドアを開けても、お目当ての人の姿はなくて、やっぱり使った様子もない。
いつも通り、ただのコレクションルームと化している。今までもらった、メダルや賞状、トロフィーが飾ってあるだけ。
「・・・どこ行ったんだろ」
予想していた部屋にはいなく、少し心配になる。
そんなに家だって大きくはない(普通の家と比べれば、大きいかもしれないけれど)
部屋はたくさんあるけれど、翼が入る部屋は決まっているようなものだ。
「ここかな」
心当たりがある部屋はあと1部屋、私たちの寝室しか、考えられない。ここで違ったら、本当に心配だ。
翼が勝手に外へ出るなど考えられない。どこかに置手紙でもあったかと考えると、答えは「ない」にしか辿り着かない。
ドアを開け、そろそろと中へ入っていく。
すると、やっぱりここに翼がいて、布団もかけずに普段着のままぐっすりと眠っている。
「良かった。ここにいた」
安心して、翼の寝顔を覗き込む。昨日試合をして、きっと疲れてたんだ。ゆっくり寝させてあげよう、と思い、頭を撫でる。
「・・・んっ・・・?」
「あ、起こしちゃった?ごめん。寝てていいよ?」
「・・・いや、大丈夫。で・・・どした?」
上半身を起こしても、まだ眠たそうな目をしていて、目を擦る翼は私だけが知っている翼なんだと思うと嬉しくなる。
夫婦になってもうすぐ2年経つのに、私だけが知ってる翼はいっぱいあるともうわかっているはずなのに、無性に嬉しくなる。
起こしてしまって、申し訳ない気持ちだけれど、翼の「どした?」っていう声が、響きがたまらなくすきだ。
「翼がいなくて、心配した」
「あー・・・ごめん。疲れてたみたい、睡魔にやられた。それにいい天気だしね」
「んーん。私も今お洗濯物干してきたとこ。翼、ゆっくり休んでて?」
「いいよ、起きる。せっかくのオフだし」
「・・・じゃー・・・お布団も干そうか。夜はフワフワのお布団で寝よう」
「ん、いいね。俺、手伝う」
大きなサイズのお布団はなかなか干す機会がなくて、今日は丁度良い。翼がこうやって手伝ってくれてるし。
「いいね、この画」
「ん?」
「真っ青な雲一つない大空をバックに愛しい人が俺のために布団を干してくれてる」
庭にあるチェアに座って、こっちを見て微笑んでいる翼がやっぱりだいすきだと思った。
070828 家長碧華
(拍手第二号)