「カレシができた」
「・・・は!?」



私のそのときのの顔を忘れないと思う。 恋バナになる度に思い出すよ、きっと。いい思い出が一つ出来た。



「いや、何度も言わせないで・・・」
そんな素振り見せなかったじゃん。すきな人いたなんて知らなかった」
「うん、私も知らなかった」
「・・・は!?」



またそんな顔されても・・・もう覚えられないよ。 すきな人がいたなんて、本当に自分でも知らなかった。 かっこいいなと、ただ漠然とした想いだった。 かっこいいなと思う人なら、自分の学校にもいる。 特に野球部はキラキラしてる。 うちの学校のユニホームが白で黒のアンダーシャツで良かった! 高校球児にイチバン似合う組み合わせだもの。



「で、誰。のカレシ」
「えー知らないし、言うの恥ずかしい」



ポテトに手をのばす。目の前のトレーにはポテトとハンバーガーが置いてある。 手にはコーラが納まっている。 はハンバーガーにかじりついていた。目が訴えている、気がする。 とにかくの視線がイタイ。私もハンバーガーにかじりついた。



「どこの高校?」
「三星」
「野球部の子ね」
「な、なんで・・・!わかる、の!!」




だって、あんた高校球児すきじゃん。といったのトレーにハンバーガーはもうなかった。



「なんて名前?」



今度はストレートで来た。のその目に勝てたことは一度もない。 覚悟を決めて口を開いたとき、修悟がトレーを持ってやってきたのが目に入った。 修悟が、いた。



「あ、修悟・・・」



私の口はちゃんとカレシを告げた。 に教えるため、というものではないにしろ、告げたのだ。 は予想通り、修悟?と首を傾げている。 修悟が私に気付いた様で、驚いた次の顔は笑顔だった。 噂をすればなんとやら・・・本当にこわい。



じゃん。偶然」
「修悟ひとり?なわけないよね」
「友達とふたり。今、買ってる。男だから気にすんなよ」
「してないー」



あぁ、がニヤニヤしてる。 あの笑顔は・・・もうバレちゃったじゃない!



「今、のカレシについて聞いてたの」
「え、オレのこと?」
「やっぱり君がカレシか」
「修悟ーッ!!」
「え?なんか悪い事言ったか?嘘じゃねーじゃん」
「じゃ、これで色々聞けるわけだ。、となり座らしてあげなよ」
「あ、うん・・・って、一緒にランチ!?」
「だめだった?カレシさん?」
「平気」



畠!と、修悟が手を上げると、大柄な男の子が、おー。と言って近づいてくる。 戸惑った顔をしながら、近づいてくる。 当たり前だ。友達が知らない女ふたりと同じテーブルについているんだから。

畠という名前に聞き覚えがあった。修悟の話で何度か出てきたことがある気がする。 同じ部活だったよね。で、畠くんだよね。・・・あの体格。



「畠くんて、キャッチャー?」
「おう。バッテリー組んでる。」
「叶・・・?」
「あー。んと、こっちは。オレの彼女。で、そっちは・・・」
の友達。よろしく」
「か、叶に彼女なんていたのかよ・・・!」




結局私と修悟は、の話術にはまり恥ずかしいことばかりを言わされた。 お昼を食べたあと、妙に仲良くなった4人ですこしブラブラしてプリクラまで撮ってきた。 今度は修悟とふたりで撮れたらいいな!



「それにしても、叶くんにベタ惚れ」
「そ、そんなことないっ!」
「ある。も聞いたでしょ?」
「わ、忘れて!本当に忘れて!」
「あはは、顔真っ赤。可愛いわーあんた」





桃色ほっぺ

(高校野球すきなのはいいけど、高校球児がすきなのはよくねー!オレだけで充分だろ)


070801 家長碧華