今日は雲が一つもないから、というの訳のわからない理由で屋上で昼を食うことになった。
ガタンっと派手に音を立ててドアを開け、外に出て空を見上げると小さな雲がゆっくりと流れている。
ここにくる理由となったものが屋上へ来て30秒も経っていないうちに壊されたは、まだ呆然と空を見上げていた。
そこに立ち止まられたらオレ、屋上に行けないんだけど。というとは復活したのか「あんな雲、雲に入れてあげない!」と
また訳のわからないことを叫ぶ。
の足が進み、俺も空の下へ出る。
あっちにでっかい雲あんじゃん。とは言わずにのとなりに座る。
教室にいるよりは太陽が気持ちいいし、なにより風が良いかんじに吹いている。
「女の子ってなにに弱いか知ってる?」
いきなり変な話題に入るとの会話にももう慣れた。
慣れてきたら、との会話が随分と楽しくなった。飽きる事がないから。オレたちが付き合い初めて早3ヶ月。
野球部のやつらにいろいろと余計なお世話な言葉をいっぱいもらったけれど、オレたちに3ヶ月のジンクスなんて関係ねー。
「虫だろ」
「それもそうだけど、弱いの意味が違う!」
意味?弱いの意味ってなに?そんなに弱いの意味を力説されたのは人生で初めてだ。
「女の子はね、ギャップに弱いの」
「ギャップ?なんで」
「え?それは普段見せない顔にキュンとくるから」
「で?それがどしたんだよ?」
ギャップか。そういえば前にテレビで見たことあるな。お昼の有名なバラエティ番組だった気がする。
100人の女性に聞いた〜とかなんとかで、あんま覚えてねーけど結構上位に「ギャップ」ていうのがあったと思う。
「孝介がモテるのはギャップがあるからだよ!ありすぎるんだよ孝介は!」
オレと関係ある話だったんだ今までの話は・・・。モテてるって思ったことねーんだけど、なんか勘違いしてんじゃねーのか?
しかもギャップありすぎるってどういうことだよ。なんか多重人格みたいだろ、ソレ。
悪い方向じゃねーよな?良い方向にとっていいんだよな?
「オレにギャップ感じてるってこと?そんなのあるわけねぇじゃん」
「ある!ギャップの貴公子だって隣のクラスの女の子たちがヒソヒソ言ってんの聞いちゃった!」
なんでヒソヒソ言ってんのをが聞けるんだよ!地獄耳かお前の耳は!との返答に心の中でツッコミを入れた。
の返答にはツッコミどころが常に満載で、本当に飽きる事はない。呆れる事はある。
「はぁ?なにそれ、なにギャップの貴公子って。ダサくない?そんなのないだろ」
「私、あると思う!けどさ・・・あの女の子たちどこにギャップ感じてんだろ?」
カノジョにそんなに肯定されたら、オレは認めるべきですか?
なにソレ、どーいうことだよ。と問うと「うーんとね・・・」と少し悩んでから喋り始めた。
うん。と適度に相槌を打ちながら朝のうちに購買で買って来たパンの袋を開ける。メロンパンの良い匂いが鼻を突く。
「私は孝介と付き合ってるからさ、みんなの知らない孝介知ってるじゃん?私はそこにギャップを感じてるわけですよ。
かわいい孝介とかっこいい孝介を。けど、あの女の子達は?まさか孝介・・・どっかでなにか振り撒いてる?」
いつ自分がかわいくなって、いつかっこよくなるのかがまったく理解できねーけど、はそう思ってたんだな。知らなかった。
・・・今度かわいいオレってのを問いただしてみっか。答えによっちゃなんかの罰だ!
オレは食べかけていたメロンパンをなんとかミルクで飲み干して、疑っているような悲しんでいるような目で見ているに反撃した。
「はぁ?なにを振り撒くんだよ!しらねーよ。その女子もしらねーし。
オレ普段あんまり女子といねーだろ。浜田とかか、お前じゃん。そこら辺はお前もわかってんだろ?」
普段一緒に行動してんのは浜田、田島、三橋。移動教室とかは4人で行ってるし、休み時間もなんとなーく4人集まっていることが多い。
その他は、だよな。あんま一人でいねーなオレと今、気付かされた。寝てるときは一人だけど。
そうだ、誰かと一緒にいるんだ。しらねー女子になんか振り撒いてる暇なんてない。
「わかってるよ!・・・気になっただけだもん」
「振り撒いてないし。気にすることないし。付き合ってわかったけど、って独占欲つえーのな」
卵焼きを食べようと口に運んでいた手が止まる。いや、それは食え。と言ったら「あ、うん!」とパクッと美味しそうに一口で食べた。
今何時かな。携帯机の中に忘れてきちまった。ま、今日は午後の授業どうでもいいかも。
なんか今、新しいが発見できそうだ。このチャンス活かさない手はない。
「だ、だって!・・・ごめん、いやだった?」
ちゃんと卵焼きを全部飲み干してから、困ったような顔をして尋ねてくる。
ここに来た当初ののテンションはもう、ない。今はなんだかしょんぼりしているだ。
こんな短時間でテンションの上がり下がりが激しすぎる。ってAB型だっただろうか・・・。
「全然。むしろ嬉しい。まぁ、オレの方が断然強いだろうからさ」
メロンパンにかじりつく。今度は嬉しそうに、照れたように笑う。
またテンションが上がってきたのか?「ウインナーあげる!」と箸でつかんでオレに差し出してくる。
なに、はい、あーん。とかいうやつですか?お前、照れてんならそういう恥ずかしいこと普通できねーだろ!
その行為を断ると泣きそうになるのは想像が容易すぎるから、オレは恥ずかしさを堪えてウインナーにパクついた。
加速度だけが増していく
070914 家長碧華
タイトル:てぃんがぁら様