今日の天気は小春日和のような温かさで、おまけに授業は眠くなる世界史。 窓側の1番後ろに座っている翼は真面目にプリントに書き込みをしていた。



キラキラ



私はその隣で睡魔とやや負け気味の試合をしている。 翼が板書しているから後で見せてもらえばいいや、という安心感が私から勝ちの要素を奪っていく。そして私はいつの間にか負けていた。 目が覚めたときは、授業が始まってから25分経っていた。


微妙な時間帯で起きちゃった・・・。


あと授業は20分もある。これが終れば、お弁当、お昼の時間だ。お腹が減って授業を真面目に受けようという気にもならない。


そうだ、真面目に受けていた翼はちゃんと書いているのかなと思いチラッと見てみたら翼も睡魔にやられていた。 暖かい日の光を浴びて、肘で頬を支えて気持ちよさそうに眠っていた。器用にシャーペンを握ったままで。

机にはプリント、ペンケース、メガネ。そしてノートが一冊広げられてあった。 私が寝るときにはなかったノート。一体何が書いてあるのかと思い、ちょっと覗いてみた。

飛葉中サッカー部のスタメンと、どこか知らない中学校のスタメンが書かれてあった。 俺と書かれてあるCBの位置から、いろんなポジションへ線が引かれてある。 相手ゴールへジグザグな線が引かれたりもしている。これはドリブルだ。この間翼に教えてもらった。

来週の対戦相手のシュミレーションをしていたのか。プリントは既に全て文字が入れられていた。 教科書を見て穴を埋めたのかな?・・・教科書机の上にない、よ。


翼を起こさないように、ノートを取り今の世界史の時間で初めてシャーペンを握る。


“飛葉中が勝てますよーに”


ノートの右端に小さく書いて、元の場所に戻す。 起きて、それを見つけて微笑んでくれる翼を想って私は後15分授業を真面目に受けようと決めた。





070828 家長碧華
(拍手第二号)